任意後見は、元気なうちに「将来、判断能力が下がったら、この人にこれを任せたい」を決めておく制度です。ただ、契約したその日から始まるわけではなく、実際に効力が生じるまでにいくつかの段階があります。全体の流れを、5つのステップの図で追ってみましょう。
ポイントは「契約した日=開始日」ではないこと
任意後見でいちばん誤解されやすいのが、このタイミングです。ステップ2で公正証書の契約を結んでも、その日から任意後見人としての仕事が始まるわけではありません。
任意後見の効力が生じるのは、ステップ5、つまり家庭裁判所が「任意後見監督人」を選んだ時からです。それまでの間、受任者(将来の任意後見人)は、契約で任された事務を行うことはできません。
なぜ「監督人」が必要なのか
任意後見人は、ご本人の財産を管理し、契約や支払いを代わりに行う、大きな役割を持ちます。そこで、その仕事が契約どおり適正に行われているかを見守る「任意後見監督人」が、家庭裁判所によって全件で選ばれます。
監督人は、ご本人の親族ではなく、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれることが多くなっています。任意後見人となる方や、その配偶者・親子・兄弟姉妹は、監督人にはなれません。身内どうしで完結させず、第三者の目を入れる仕組みです。
任せられるのは、どんなこと
任意後見契約で任せられるのは、大きく2つです。ひとつは「財産管理に関する法律行為」で、預貯金の管理・払戻しや、不動産などの重要な財産の処分など。もうひとつは「身上監護に関する事務」で、介護サービスの契約や、福祉施設への入所契約などです。
任せる内容は、当事者どうしの合意で、法律の趣旨に反しない限り自由に決められます。「これは任せたいが、これは自分で」という設計もできます。
まとめ
任意後見は、①元気なうちに考え始め、②公正証書で契約し、③判断能力が下がったら、④家庭裁判所へ監督人選任を申し立て、⑤監督人が選ばれた時から始まる、という5つのステップで進みます。契約した日ではなく、監督人が選ばれた時が「開始」だという点が、いちばんのポイントです。
元気なうちにしか準備できないのが任意後見です。行政書士杉山翔事務所では、任意後見契約(公正証書)の準備や原案づくりのサポート、死後事務委任契約とあわせたご相談を承っております。「まだ元気だけれど、将来に備えて話を聞いてみたい」という段階のご相談も歓迎しております。
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※ 本記事は法務省民事局のパンフレット・リーフレットを参照して作成しています。手続きの詳細は公証役場や家庭裁判所のご案内でご確認ください。