障害のあるお子さんがいらっしゃるご家族からは、「これからどのようなサービスが利用できるのか」「節目ごとに何を準備しておくのがよいのか」というご相談を伺うことが多くあります。お子さんが小さいうちは目の前の発達支援が中心になりやすく、その先のサービスがどうつながっていくのかは、なかなか見えにくいものです。

本記事では、子どもから大人になるまでのライフステージに沿って、利用できる主な障害福祉サービスと、成人後の住まい・日中活動の選択肢を整理します。

1. 利用の入り口:障害者手帳と受給者証

障害福祉サービスを利用するための入り口となるのが、障害者手帳と受給者証です。

障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類があります。手帳の有無や種類によって、利用できる制度や受けられる支援が一部異なります。

サービスを利用する際には、手帳とは別に「受給者証」が必要となります。児童期の通所サービス(児童発達支援・放課後等デイサービス等)を利用する際には「障害児通所受給者証」、成人期のサービスを利用する際には「障害福祉サービス受給者証」を取得します。いずれもお住まいの市町村の障害福祉担当課が窓口です。

受給者証は手帳とは別の仕組みであり、手帳がなくても、医師の意見書等でサービスの必要性が認められれば取得できる場合があります。

2. 児童期(未就学〜高校生)

未就学から高校生までの時期に利用できる主なサービスは、次のとおりです。

  • 児童発達支援:未就学のお子さんを対象とした通所支援。発達支援や社会性の育成、保護者支援などを行います。
  • 保育所等訪問支援:保育所・幼稚園・学校等にスタッフが訪問し、集団生活を送るお子さんへの支援や、施設の先生方への助言を行います。
  • 放課後等デイサービス:就学児(小学生〜高校生)が、放課後や長期休暇に通って、生活能力向上や社会との交流の機会を得るための支援。
  • 児童発達支援センター:地域の中核的な拠点として、より専門性の高い支援や、地域の事業所・保護者への助言を担います。

児童期のサービスを利用するためには、相談支援専門員が「障害児支援利用計画」を作成し、お子さんやご家族の意向を踏まえた支援の組み合わせを設計します。

3. 移行期(18歳前後)

児童期の通所サービスは、原則として18歳までが対象です。高校卒業や特別支援学校卒業のタイミングが、成人サービスへの大きな移行期となります。

進路の選択肢としては、一般就労、就労支援サービスの利用、生活介護の利用などがあり、お子さんの状態や希望、ご家族の事情によって組み合わせが異なります。18歳になる前から、成人サービスの見学や体験利用を始めておくことで、移行をスムーズに進めやすくなります。

この時期には、サービス利用計画の作成主体が、児童期の「障害児相談支援」から、成人期の「計画相談支援」へと切り替わります。

4. 成人期:日中活動の選択肢

成人期に日中通うサービスとしては、次のような選択肢があります。

  • 就労移行支援:一般就労を目指して、就労に必要な訓練や就職活動の支援を受けるサービス。標準利用期間は2年。
  • 就労継続支援A型:雇用契約を結んで働く場。最低賃金以上の賃金が支払われます。
  • 就労継続支援B型:雇用契約を結ばずに、生産活動への参加に対して工賃が支払われる場。
  • 生活介護:常時介護が必要な方を対象に、入浴・排せつ・食事等の介護や、創作的活動・生産活動の機会を提供するサービス。
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練):地域生活への移行に向けた一定期間の訓練。

利用者数で見ると、就労継続支援B型は約50万3千人と、障害福祉サービスのなかで最も多くの方が利用しているサービスです。続いて生活介護が約33万6千人、就労継続支援A型が約10万3千人、就労移行支援が約4万3千人となっています(厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査の概況」、令和6年9月中の利用実人員)。

5. 成人期:住まいの選択肢

成人期の住まいに関する障害福祉サービスとしては、共同生活援助(グループホーム)と障害者支援施設(入所施設)が代表的です。これに加えて、自宅で生活しながら居宅介護や行動援護等のサービスを利用する形もあります。

利用者数の傾向

  • 共同生活援助(グループホーム)の利用者:約18万5千人
  • 障害者支援施設の入所者:約12万5千人

(出典:厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査の概況」)

数字上は、入所施設よりもグループホームの方が利用者数で上回っています。地域移行政策のもと、入所施設での生活から、グループホームや自宅へと住まいを移すケースが増えてきた結果です。

また、日中活動の利用者数(就労継続支援B型 約50万人+生活介護 約33万人で80万人以上)と、入所施設の入所者数(約12万5千人)を比べると、成人期の障害福祉サービス利用者の多くは、自宅やグループホームから日中サービスへ通所する形で生活していることがわかります。「親なき後」を考える際には、入所施設だけでなく、グループホームを含めた地域での生活も現実的な選択肢として視野に入ります。

6. 相談支援と「親なき後」の準備

成人期になると、サービス利用計画は「計画相談支援」を担う相談支援専門員が作成します。地域での生活への移行や、地域生活の継続を支える仕組みとして、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)も用意されています。

お子さんが成人を迎える前後の時期は、ご家族にとって「親なき後」を考え始めるタイミングでもあります。お子さんの判断能力に応じて、成年後見制度(法定後見・任意後見)の利用、信託の活用、遺言書の作成といった準備を、サービス利用の整理と並行して検討していくことになります。

7. まとめ

障害のあるお子さんがいらっしゃるご家族にとって、利用できるサービスはライフステージごとに切り替わります。児童期は児童発達支援・放課後等デイサービスを中心に、移行期に成人サービスへ。成人期は、日中活動(B型・生活介護・就労移行・A型等)と住まい(自宅・グループホーム・入所施設)を組み合わせて、お子さんに合った生活基盤を作っていく形になります。

統計上、成人期の障害福祉サービス利用者の多くが自宅やグループホームから通所サービスを利用しており、地域で生活しながら支援を受けるスタイルが主流です。「親なき後」の準備を考える際には、サービス利用の流れ、お子さんの住まい、そして相続・後見の準備をひとつのつながりとして整理しておくと、ご家族の見通しが立ちやすくなります。

行政書士杉山翔事務所では、障害のあるお子さんがいらっしゃるご家族の相続・遺言・後見の準備に加え、障害福祉サービスを取り巻く制度の整理についてもご相談を承っております。「何から手をつければよいか分からない」という段階のご相談も歓迎いたします。

ご相談はお問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

※ 本記事は障害者総合支援法、児童福祉法、関係する厚生労働省告示・通知、および厚生労働省「令和6(2024)年社会福祉施設等調査の概況」(令和6年10月1日現在、令和6年9月中の利用実人員)を参照して整理しています。具体的な手続き・必要書類は、お住まいの市町村の障害福祉担当課にご確認ください。