就労継続支援B型事業所の基本報酬区分は、前年度の平均工賃月額によって決まります。令和6年度報酬改定で平均工賃月額の算出式が見直され、令和8年6月にはさらに区分基準の見直しが入る予定です。

本記事では、平均工賃月額の算出式と報告サイクル、そして令和8年6月施行の区分基準見直しと救済措置の構造を整理します。

1. 平均工賃月額の算出式(令和6年度以降)

平均工賃月額の算出式は、令和6年度報酬改定で次のとおりに見直されています。

平均工賃月額 = 年間工賃支払総額 ÷ 延べ利用人数月数

「延べ利用人数月数」とは、対象年度の各月の利用実人員を1年分合計したものです。

令和6年度の改定後も、改定前の旧計算式のまま運用している事業所が見られます。算出式の認識違いは、そのまま基本報酬区分の誤算定につながりますので、自社の集計方法が現行式に沿っているか、年度の節目に一度確認しておくことをおすすめします。

2. 報告のサイクルと基本報酬区分への反映

平均工賃月額は、毎年度、自治体に対して報告する必要があります。

報告の対象となるのは、前年度(4月〜3月)の実績です。この前年度実績が、翌年度4月以降1年間の基本報酬区分の根拠となります。たとえば、令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)の平均工賃月額が、令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の基本報酬区分を決める基礎となる、という関係です。

報告の遅延や誤りは、基本報酬区分に直接影響するため、年度切り替えのタイミングで集計の漏れがないか、根拠資料が揃っているかを確認しておくことが大切です。

3. 基本報酬区分の現行構造

B型の基本報酬区分は、現在は次のような構造になっています。

  • 区分(一)〜(六):平均工賃月額の水準による区分
  • 区分(七)〜(八):利用者の参加状況等を評価する区分
  • 区分(九):経過措置の区分

このうち(一)〜(六)が、いわゆる「工賃水準で評価される区分」で、平均工賃月額の階層によって細かく分かれています。一方の(七)〜(八)は、工賃の高低ではなく、利用者参加の機会提供などを評価する区分です。

4. 令和8年6月改定での区分基準の見直し

令和8年6月から、工賃水準による区分の構造が見直されます。

主な変更点

  • 工賃水準による現行の区分(一)〜(六)が、新たに細分化された区分(一)〜(F)に再編される(13段階に細分化、告示の表記に従い漢数字とアルファベットの併用となっています)
  • 区分(七)〜(九)は変更なし

新区分(R8改定対象)の金額帯は、4万8千円以上から1万5千円以上1万8千円未満まで、より細かく刻まれる構造になっています。これにより、工賃水準を上げた事業所の評価が、より段階的に反映される設計になります。

救済措置(R8改定対象外)

令和6年度報酬改定の前後で、平均工賃月額に基づく区分が「変わらなかった」または「下がった」事業所については、新区分の適用対象外となり、従前の(一)〜(六)の区分のまま据え置かれます。これは「R8改定対象外」と呼ばれる扱いです。

判別の基準時期

  • 令和5年4月以前に指定を受けた事業所:「令和6年3月の区分」と「令和6年4月の区分」を比較
  • 令和5年5月から令和6年3月までに指定を受けた事業所:経過措置期間の最終月と翌月の区分を比較(指定時期によって比較する月が異なるため、厚生労働省の参考資料で確認)

ご自身の事業所がR8改定対象なのか対象外なのかは、令和6年4月をまたぐタイミングでの区分変動の方向で判別される設計です。

5. 事業所として準備しておきたいこと

令和8年6月改定に向けて、事業所として準備しておきたいのは次の点です。

  • 自社の令和6年度改定前後の区分変動を把握する(R8改定対象外の救済対象になるかどうか)
  • 令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)の平均工賃月額を正確に集計する
  • 令和8年6月の届出に備える

届出のスケジュール

届出は令和8年6月施行に伴うものですが、事業所と自治体の事務処理負担を考慮し、令和8年4月中に「4月・5月分(現行区分)」と「6月以降分(見直し後区分)」を同時に提出することができるとされています。具体的には令和8年4月15日までが目安です。

なお、令和7年度平均工賃月額が1万5千円未満(区分七または八に該当)の事業所は、見直し後の区分の届出は不要で、根拠書類を提出することで足ります。

具体的な提出書類・様式・期限は自治体ごとに案内されますので、お住まいの自治体(都道府県・指定都市・中核市)の通知を確認してください。

6. まとめ

B型の基本報酬区分は、平均工賃月額の算出と毎年度の報告によって決まる仕組みです。令和6年度改定で算出式が変わり、令和8年6月改定では工賃水準区分の細分化と救済措置(R8改定対象外)が組み合わさるため、自社が新区分の適用対象か救済対象かを早めに見極めておくことが重要です。工賃向上の取り組みを体制面から支える加算として、目標工賃達成指導員配置加算のコラムもあわせてご参照ください。

行政書士杉山翔事務所では、平均工賃月額の集計・基本報酬区分の確認、令和8年6月改定に向けた届出書類の整備、運営指導前の点検などのご相談を承っております。日常的な顧問契約として、年度ごとの工賃集計や区分判定の継続サポートにもご対応いたします。

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※ 本記事は障害者総合支援法、関係する厚生労働省告示・通知、厚生労働省「就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて」(別添資料①・別添資料②)を参照して整理しています。具体的な届出様式・期限・運用は自治体ごとに異なる場合がありますので、最新の通知および各自治体の公表情報をご確認ください。