2026年6月、成年後見制度を見直す民法の改正が成立しました。制度の始まった2000年以来の大きな見直しといわれ、これまで「使いにくい」と指摘されてきた点に手が入る予定です。

ただし、成立と施行(実際に新しい制度が動き出すこと)は別です。施行は遅くとも2028年12月までとされており、今この時点では、これまでどおりの制度が動いています。ここでは、これから何がどう変わる見込みなのか、全体像をやさしく整理します。

いまの制度の「使いにくさ」

現在の法定後見制度は、判断能力の程度に応じて「後見・保佐・補助」の3つの型に分かれ、家庭裁判所がいずれかを選びます。この仕組みには、以前から次のような指摘がありました。

ひとつは、一度始めると原則としてずっと続くという点です。たとえば「遺産分割の話し合いのあいだだけ支えてほしい」という場面でも、いったん後見が始まると、その後も本人が亡くなるまで続き、後見人への報酬も続いていくのが基本でした。

もうひとつは、型が判断能力の程度で機械的に決まり、一人ひとりの事情に合わせた柔軟な設計がしにくいという点です。「ここだけ手伝ってほしい」という部分的なニーズには、必ずしもなじみませんでした。

何が変わる見込みか

今回の改正では、こうした点に応える形で、大きく次の方向が示されています。

これまで 後見 保佐 補助 能力の程度で型が決まる 改正後(予定) 一つの制度に まとめる 一人ひとりの事情に 合わせて範囲を決める 必要な間だけ使い、済んだら終えられる仕組みへ 後見人の交代もしやすく/報酬の見通しも立てやすく

3つの型を一つにまとめる

「後見・保佐・補助」という3つの型をやめ、一つの制度にまとめる方向です。あらかじめ決まった型に当てはめるのではなく、ご本人に必要な支援の範囲を、事情に応じて個別に決めていく形が想定されています。

必要な間だけ使えるようにする

今回の見直しでいちばん大きいのが、必要がなくなれば制度を終えられるようにする点です。たとえば、ある手続きのために利用を始め、それが済んで支援が要らなくなったときには、制度を終了できる方向とされています。「一度始めたら、ずっと続く」という重さがやわらぐことになります。

後見人の交代や報酬も見直しへ

このほか、本人のために必要があるときには後見人を選び直しやすくすること、報酬を業務の内容に応じてわかりやすくしていくことなども、あわせて示されています。費用の見通しが立てやすくなることが期待されています。

いつから変わるのか、いま何を考えておくか

繰り返しになりますが、改正は成立したものの、施行されるのは先です。遅くとも2028年12月までとされ、それまでは現在の制度が続きます。細かな運用は、施行までに順次整えられていく見込みです。

なお、今回の見直しは主に法定後見(判断能力が下がった後に家庭裁判所が関わる制度)が対象です。元気なうちにご自身で備えておく任意後見は、引き続き有効な備えと位置づけられています。将来に向けて「誰に何を任せるか」を自分で決めておきたいという考え方は、改正後も変わらず大切にできます。

制度の現在の全体像は「成年後見制度とは — 「法定後見」と「任意後見」の違い」でも整理しています。あわせてご覧ください。

まとめ

2026年6月に成立した民法改正で、成年後見制度は「型に当てはめる・ずっと続く」仕組みから、「一人ひとりに合わせ、必要な間だけ使う」仕組みへと、大きく変わることが予定されています。ただし施行は2028年12月までとされ、今はこれまでの制度が動いています。急いで何かを変える必要はありませんが、制度がどう変わっていくかの大きな流れを、頭の片隅に置いておくと安心です。

行政書士杉山翔事務所では、任意後見や財産管理・見守りといった「これからの備え」のご相談や、「今の制度と改正後で、自分の場合はどう考えればよいか整理したい」といったご相談を承っております。後見制度全般については後見のページでもご案内しています。

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※ 本記事は、2026年に成立した成年後見制度に関する民法改正の報道・解説をもとに、成立時点でわかっている範囲で作成しています。施行時期や具体的な運用は、今後の政省令・法務省や家庭裁判所のご案内でご確認ください。